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「マックス」
冬の風が吹き荒ぶ荒野で、私は息を切らせていた。
観覧車を囲むステージはもう全て出来上がっていて、特別に作られた、リアルホログラム・ドラムセットから降りてきたマックスは、息も切らせずに白金のドラムスティックをくるくると回していた。
私はミカにもあげた、彗星カスタネットをリハ用のベージュのスウェットのポケットにしまう。
右足のところに、エッジの利いたロゴが入っている、可愛いデザイナーさんがデザインしたやつをワールドチャネルで見つけて買ったやつ。
Hachimitsuって書いてある。
「……なんでリハの時もホログラムアイウェア、してるわけ?」
マックスの瞳は……本当は緑。
エメラルドみたいな——。
「アー、別に理由はないけど。幸子もいつもしてるじゃない?」
「リハの時はしてないよ」
飴色の瞳。
世界で一番多い、アンバーの瞳だけど、シュウジ君は花の化石が閉じ込められているみたいな特別な目ですね。流石アイドルって言ってくれた。
そこまでは思わないけど、きっと特別な瞳だって思わなきゃって思ってる。
「黒い瞳の時ってさ、皆と仲間みたいじゃない?」
それはわかる。私も、そうだ。シュウジ君も、ミカも、雪姉も、ゴーグルおじさんも、2階のおかーさんも、ショーコちゃんも。だから私も私用の時は。
……でも、




