表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
ブルーグレイの風……——冬の胡桃
472/743

449

「いつも見てたでしょう?」


 ブリーダーショップのお姉さんは、雪姉せつねえ由姉ゆうねえに挟まれた私に、あのこをくれた。


「えっ……」


 緑目のあのこは、私の不器用な両腕の中で、居場所をつくるように、もぞもぞと動いてわき腹と腕の間に顔をうずめた。


 いつものように嫌々ながら付いて来たあねたちの髪が、ブル―グレイの風に揺れている。


 ブリーダーショップの前の小さな大通りにはタクシーとか、白や銀色の車が行きかっていて、ブリーダーショップの入口には、チビ丸が眠そうに空を見上げている。


「なんか、どの人にもなつかなくって……可愛いこなんだけど」


 ベルベットのような黒いつやつやの毛並みが、まんまるのフォルムで、すぅすぅと上下している。


「あなたのこと好きみたいだから、連れてってくれない?」


「いやっでも契約とか……」


 雪姉せつねえが慌てて断ろうとするけど、由子ゆうねえは嬉しそうに見える。


「連れて……帰ります」


 私の心は決まってしまっていた。


 私の腕の中で息をしてる黒いこのこ。


 どういうふうに守れるのか、わからないとしても。


「いいのいいの。()()人と一緒にいてくれたら、私たちも嬉しいから」


「……可愛がれるの?」


 雪姉せつねえの問いに、私の迷いは無かった。深呼吸して、大きくうなずく。


 私はこのこに名前をつけた。


 その名前は——

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ