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「「「寒い!」」」
三姉妹が文句を言った。
もうすぐ夏休みになるというのに、痛覚連動システムを弱めているというのに、レイダーに乗ったアタシたちは、刺すような寒さに晒されていた。
虹彩視界モニターは痛烈な吹雪で埋め尽くされ、
襲い来る青い鳥の群れを操縦管を握りしめ交わそうとするけど、手が悴んで攻撃が思うように当たらない……!
微かに見える遠くの巨大氷山の頂上には、不似合いな大輪の向日葵。
この寒さにカメラ機材は壊れてしまって、三姉妹は言いたい放題だ。
「お姉のくせに使えない!」
「アンタがいつもふざけるから!本当困る!」
「あーあ、また始まった。本当嫌!」
ちょっ!今は止めてもらえますかね!?
氷山の上までハイドロレイダーは行けない。なんとか姉妹を援護して、鳥の群れを引き付けた。
「早く!行ってください」
向日葵の前に飛行した下から見ると銀色の桔梗の形の小さな星型のレイダーから、ぺすっ、ぺすっ、とガス欠みたいな黄色の光が漏れる。
「ちょ!何やってんですか!みんなでタイミング合わせて!」
アタシは叫んだ。
「だって!お姉たちが悪いんだもん!何で二人とも私を頼んないの!?」
「なんでアンタたちは私の言うことだけ聞かないの!?」
「何で二人とも、私を無視するのよ!?」
へっ……?
……なんか……少しわかった気がした。でも!
「ア、アンタたちィ!いいから早く心合わせて!!!」
寒……も……ムリ……限界…………




