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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
再生する光……——祝砲の挽歌
467/745

444.5 手記16

「ふんふ、ふ~ん。ふんふ、ふ~ん」


 不謹慎というのかもしれない。


「ふんふ、ふ〜ん、ふん、ふ〜ん……」


 俺の心は踊っていた。


 サングラスの向こうに、遥か向こうに、特務機関のすいを結した、ブレイズレイダーが見える。


 赤い機体。


 俺が乗ったら、何色になるのか……。


三島みしま、準備はいいか」


 サングラスの通信機能が、拓海たくみの声を拾う。


「あぁ、もちろん。楽しみなくらいだよ」


「……死ぬな。常に、離脱ボタンから手を離すな」


 潰れそうな声。


 逆の立場だったら、俺も同じだったと思う。


 この立場で居られることが、不謹慎にも楽だった。


「……ごめん。真剣にやる」


 俺が最初に所属していた、国家警察の白ジャケットを搭乗用に加工したスーツ。


 不思議なくらいに体に馴染んでいたけど、それは背中を押してくれた人たちの努力の結晶だ。


 突然、鼓動が高鳴る。


 歩む速度が、何かの力によって滞ってしまいそうになる。


 息が、止まりそうになるのを無理やりに吐き出す。


「はぁああああ」


三島みしま、ワープインシステムが、まだ不確実だ。コックピットをicom(アイコン)で顕現させるから乗り込んでくれ」


「ラジャーベース」


 ブレイズレイダーの足元に、碧く発光するコックピットが現れる。


(恰好いいじゃん)


 再び、踊るような心が現れる。


 何度も、シミュレーションした。ミスケースは、限りなく0%に近い。


 死にそうな恐怖も、自分自身で鼓舞するしかない。


 特務機関の仲間のために……仁花にかのために。それから、……んーとまぁ、自分がカッコよくいるために?


三島みしま、今からでも……」


 深呼吸をする。


「大丈夫!拓海たくみ、始めてくれ」

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