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「マックスは、いいの?イベントにライブばっかり」
赤土の荒野には、人っ子ひとりいない。
んーん、観覧車のふもとに、係の人がいるかもしれない。
誰が乗るのか分からないオレンジの観覧車。
私が乗りたいのは……
「サチコだって、ミカと過ごしたいのではないの?」
それを言ってどうなるんだろ……。
ミカにはやることがあるし、私はやりたいことをやってる。
それでも、寂しく思ってしまう気持ち。
「ごめん、変なこと訊いた」
「いいよ。疲れてるんじゃない?」
「それはある」
自分のことを、ゆっくり考える時間なんて無かった。
それでも良かった。
みんなに元気になってほしい。それが叶えば。
……悲しくなったりはしない。もし明日、ミカが私のことを忘れてしまったりしても。
同じステージで闘えなくても、私は出会ってしまったんだから。
ちょっと憎らしくて、宝石みたいにキラキラしてる宝石みたいな友だちに。
「辞めてもいいの?サチコ」
「一緒に作ったんだから、今更だよ!」
「それなら、やるしかないですよね」
沢山の人を元気にしたい。
その気持ちも本物。
「成功させようよ、サチコ」
「もちろんだよっ☆☆☆」
ずっと会えないわけじゃない。来週になれば、私はまたミカとココアを飲むんだから。




