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玄関で動かなくなってしまった雪子さんに、アタシはなんて声をかけていいか分からなかったけど、幸子や由子さんが待ってるんじゃないかって思った。
「あっ、あの、搭乗研修、大丈夫です、かっ」
悲しんでいるような、言いたいことがあるような、西日を浴びた雪子さんの姿が綺麗で、アタシは変な声を出してしまった……。
「ミカちゃん、あなたシュウジ君が好き?」
「へっ?……いや、まあ……考えたコトない……ですけど……まぁ好きです、けど……家族ですし」
「帰るわ、もやしちゃん!」
な、なに???
かくして、アタシは、三姉妹に嫌われてしまった。
でもトレーニングは、思いのほか順調だった。
鑑原三姉妹がトレーニングに加わってから、アタシたちの活動には全て取材が入って、カメラが回っている間、三姉妹はアタシに優しかった。(シュウジとアタシの映像はHyLAの人に差し替えてもらっていた)
「雪子君、由子君、幸子君のレイダーは補給を兼ねた飛行タイプのレイダーだ」
青いトレーニングルームでサブローがメディカルチェックをしながら、説明した。コックピットカプセルに横たわる三姉妹は、作り物のように美しかった。
「おや……?雪子君、寝不足だね?」
「大丈夫です」
雪子さんは映画を撮りながら訓練を受けていた。由子さんも、幸子も、それぞれ活動を続けていた。
鏡でコーティングされたような銀色の星形小型ジェット機タイプのレイダー。中は、アタシたちのレイダーみたいに、カプセルが三つあって、離脱すると同じく、カプセルごとトレーニングルームにワープする仕組みだ。
戦闘中でも補修シリコンを射出し、各レイダーの補修ができる機能がついている。
敵が、どんどん強くなってきていて、心強いと思ってる。
三姉妹のドキュメント映像に対する莫大な寄付も集まり、HyLAの技術も更にどんどん上がっているそうだ。




