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「名前、なんにしたの?」
世界が再生した夜、アタシは宗ちゃんに訊いた。
「まだ決めてない。何がいいと思う?」
「宗ちゃんが決めなよ」
ブリーフィングの後、宗ちゃんとシュウジとジュンと、四人でコーヒーを飲んだ。
新しい力に、アタシたちの鼓動はなかなか収まらなかったから、真夜中だけどコーヒーを飲むことにしたのだ。……今日だけね。
白い、小さなブリーフィングルームは少し寒くて、暖房のどこか円みたいな温かさが、ぽっと体に触れる。
リイヤとマックスは帰ってしまった。用事があるそうだ。
事態の収束と、レイダーの回収などが全て終わり、みんなで何が起こったのかを確認した。……けど、わからない。
あまりにも突然で、強大な再生の力にただただ、息を飲んだ。
壊れてしまった世界が、甦る奇跡——。
それは美しくて、優しい、強い力だ。
コーヒーカップから、ふわふわと湯気が浮かぶ。
「そうだね……何がいいかな……」
宗ちゃんは嬉しそうだった。
「ゆっくり決めればいいよ」
珍しく、シュウジが名前決めに関して落ち着いていた。
「めずらしいじゃん」
そう言ってみる。
「なんか、あの名前はさ……ゆっくり決めたほうがいいと感じました」
「なにそれ」
宗ちゃんは、嬉しそうだった。




