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パールブルーの夜。
惑星の灯りが月までぼんやり届いていた。
モニタールームの画面が煌々と光って、灰色の部屋が、じんわり明るく光っていた。
「すっかり、元通りになりましたね」
小松が胸を撫でおろしたように言った。
「これがあれば……IOP消失は免れたかもしれないのに」
リエナがコズミナルエンペラーの画面を拡大する。
「無理よ、間に合わなかったわ」
小松が悲しそうに言う。
小松も、リエナも、IOPに居た沢山の仲間を失った。
俺が機関を離れている間に。
路地裏でゴミのように座り込んで……何もかもを呪って……その隙に、IOPは失われてしまっていた。
瞬きをする間もなく……
「でもね、その時から……いいえ、そのずっと前からの積み重ねで、私たちは進んで来たし、今の仲間が集まった。歴史があって、今だからこそ再生できたのよ」
自分よりいくつも年下の小松の言葉に、はっとさせられる……。
もし、あの時に、間に合っていれば……。
時は、けして戻らない。
だから、間違えてはいけなかった。
「ライさん、またなんか悩んでます?」
雨沢が嫌な視線を向けてくる。こういうところが……誰かを思い出させる。
「雨沢……今回は、よくやった」
「ありがとうございます!!」
そんな言葉をかける資格もない俺に、雨沢は無邪気に微笑んだ。
夜が、音もなく静かに更けていく——




