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「……なんで、分かるんだよ」
この不思議な弟分は、悔しいくらいに正解を見つけ出す。
銀河から、たった一つの星を見つけ出すように。
「エリアBの人たちが作ったんだもん……宗ちゃんも居るし!」
迷いのない瞳に、俺はいつだって背中を押されて来た。
いや、湿った暗がりの中で、煌々《こうこう》と光る、消えそうな輝きに吸い寄せられるように進んで来た。
忘れえぬものと、忘れるべきものを、ないまぜにして奥歯で噛みしめて……。
「純之助、何があった」
「新種のディストレスだ。アローを撃ってみたが効かない。逃げるしか無かった」
「わかった」
目の前の景色がただ、壊されていく……。
失ったいつかのイルミネーションが、消えていく街の灯に重なる……。
「宗ちゃん、アタシたちが居るから」
みっちゃんの後ろには、リイヤ、マックス、シュウジと純之助……
悠久の存在、今、得た力……——
「宗ちゃん、クリスマスの街を取り戻そうよ!!!」
失われたあの日の光を……!
「雨沢!解析を続ける!!」
無理だ、亜空間を穿つ穴が広がっている……
「ライさん……」
「まだ、大丈夫よ!」
「小松さん……」
何者もアクセス出来ない深淵に何度もアクセスする。……絡んだ鎖を解いていくように——
これは……
「宗ちゃん!」
俺たちが創った未来への使者だ!
「エンペラーが光ってる!!!」




