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「ごめん」
部屋に着いて、アタシは幸子に謝った。
「昨日はえっと、き、緊張しちゃったんだ。聞きたいことがあったんだよね?なんか、アタシの対応、良くなかったっていうか、き、緊張しちゃったんだ」
アタシは幸子にお茶を淹れながら言った。
「別に」
幸子は静かにお茶を飲み始めた。
「……ていうか。……ね、それよりさ、ミカ。シュウジ君ってカノジョとかいるの?」
「え、いやそんなこと知ってても言えないし、っていうか、不安じゃないの?……搭乗のこと」
「別に?☆」
幸子が何を思ってるのか、全然分かんない。息苦しくなってアタシは窓を開けた。
夕方の涼しい風が入ってきて、頭が冷えていく。
アタシはすぅっと、息を吸い込んだ。
「ね、ねぇ、ところで、今日お姉さんたちは?」
「知らなーい☆」
「幸子!」
玄関のドアが勢いよく開いた。
「あ、由子おねーちゃん☆」
「幸子、何やってたの?今日は搭乗研修でしょう?」
「えっそうだったの?い、行きなよ幸子。いきなり搭乗だと、結構わけわかんないよ?」
アタシは過去の記憶をイロイロと思い出した……。
今は搭乗研修があるなんて、サブロー(というかHyLAの人たち?)グッジョブ!
「幸子、由子、ここに居たの?早く支度しなさい」
入ってきた雪子さんに、由子さんが困ったように声をあげた。
「ちょっと、私は幸子を探しに……」
「時間が押してるの。話してる暇はないわ」
はぁ、とため息をつく幸子に、アタシは声をかけた。
「あのさ、本当に、事前になるべく詳しく聞いたほうがいいよ」
幸子と由子さんはしぶしぶ出て行った。
「ふぅ、本当困る……」
ドアの前で、雪子さんが呟いた。
「え、えっと……」
思わず声が出てしまって、雪子さんが振り返る。
「ごめんね、仲良くないのよ、私たち。姉妹なのにね」
雪子さんの悲しそうな声に、アタシはなんて言ったらいいのかわからない……
それにアタシはそうは思わなかった。
三人、見た目も性格もそれぞれ綺麗だけど、根が同じというか、アタシにはないキラキラした輝きが似てる気がして、むしろ羨ましかった。
……でもアタシは、どんな風に何を言えばいいのか分からない。
「ねぇミカちゃん。シュウジ君は素敵なコだけど……ミカちゃんも嫌だなーって思う時、あるわよね?」
「えっ?ないですよ?まぁ……ん?ってコトはありますけど(シリアスな場面で、技名とか真剣に考えていたり?)き、基本、優しいいいヤツですよ?」
シュウジが仲間に嫌われたら困る。だからアタシは懸命にシュウジの良さをプレゼンしてしまった。




