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「アタシ、あれが怖いんだよね」
いろいろグルグルしてて、正直に言うしか無かった。
宗ちゃんの気持ちを軽くしてあげたり、ライさんのことを、もっと理解したい。
だけど時々、壁、みたいなものがあって、アタシはシュウジみたいに上手くは出来ない。
ダメな自分にため息が出るけど、宗ちゃんは真剣に聞いてくれてるみたいだ。
ゲーミングチェアをくるくると回転をさせて、何かを考えてるみたいに。
「俺も怖いよ」
宗ちゃんの腑に落ちない言葉に、もごもごとしてしまう。
「……宗ちゃんは……愉しそうじゃん」
「まあね、楽しいよ。……でもさ、サブローさんさ、スターノエルの草創期の時、酷い目に遭ったじゃん。俺たちもそうなるんじゃないかなーって危機感は持ってる」
「……そうなんだ」
のめり込んでいるように見えた。止めたかった。
また、心を壊してほしくなかった。
「宗ちゃんが、そんなふうに動き続ける理由は何?」
宗ちゃんはゲーミングチェアを止めた。
「さぁ……なんだろうね。理由が分かれば、いいのかもしれないけど」
それはアタシにとってだろうか。それとも……。
「アタシさ……思うんだけど」
紺碧の空気が……冷たい。
ずっと、思っていたこと。
「コズミナルエンペラーって」
「…………——ディストレスじゃない?」




