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「ミカ、大丈夫??☆☆☆」
「えっ何が?」
エリアZから戻って来てから、アタシは毎日ぼんやりしていた。
「もー!全然宿題進んでナイじゃん☆」
古代のアニメのお母さんみたいに、プン!と腰に手を当てて、幸子は口を尖らせた。
「ミッションは結局うまくいったんでしょ?あ、私が居なくて寂しかったんだ。ごめんね〜忙しくって☆」
確かに、出撃する時は、幸子か、リディアか、ロボ菜ちゃんがいるほうがいい。
落ちつくし、安心するからだ。
でも、アタシだって流石に、今は使命ってやつを感じ始めてる。
仲良しな子がいなくても、やるべきことが分かって来てる。
幸子が居てくれたほうが良かったけどさ!
「幸子忙しいじゃん。偉いよ、それなのにトレーニングもちゃんとやってて」
「なんだそりゃ!☆寂しいなら寂しいって言ったほうがいいんだからね!」
自分も言わないクセに……。
でも、安易に弱音を吐かない幸子の真っ直ぐな飴色の瞳が(幸子はしょっちゅうカラコンを入れるから、そうじゃない色の時もあるけど)自慢な部分でもあった。
「ごめんて」
よく分からないけどアタシは謝り、幸子は満足そうに、ぼふっとソファーに飛び込んだ。
月基地の個室には、三角のホログラムクリスマスツリーが輝いていた。




