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「早くしろ!」
そう叫んで、心が焼け付く。
「すみません!」
言わせてしまって、心が潰れそうに痛む。
「……チッ、サブロー、援護する!エネルギーを貯めろ!」
「はい!ライさん!!!」
若い奴の前向きなエネルギーに、痛む心を救われる。
……余裕が無い……。
新しい奴らより、よっぽど。
積み重ねてきた歴史は一晩のうちに追い抜かれ、届かない背中を見送る——。
「ハイドロレイダー!リイヤ!ヒットアンドアウェイで攪乱してほしい!耐えろ!」
「やってるって宗!」
「ライさん!俺たちも打ち込み開始します!小松さん!」
「わかってる!バリア解除!!」
動かない足を必死に動かす——。
「コズミナルソード、展開!!!」
「雨沢!左だ!」
「速いですね!!!」
黒い炎のような往年の切っ先が珊瑚を掠める。
粉々になる白い雪を、俺は見たことがあった。
ふいに訪れるスローモーションに、ギリギリの人生がフラッシュバックする——。
「ライさん!」
刃に速度が加速する……!
「俺もいます!!!」
振りぬいた刃が珊瑚を塵にしていく……。
「三人の合力を増幅するのがエンペラーですから!」
小松の指先が、空気中にホロ・カルトロップを発生させる。
「すまない……」
ありがとうなんて言う資格が無い。それでも——




