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「雨沢、こちらに帰還だ」
数々の疑問符を造り出して、関野艦長が静かに言った。
「ライさん、フィンヨンは捨てるんですか」
「心配するな。あとでサルベージする」
「俺が持ってますけど」
「キュロス、君は囮だ」
「囮!?」
「いいか、キュロス、ドルフィン、機体が揃うまで耐えてくれ」
「耐えるってどういうことですか!?」
「避けて欲しいってことだ」
サブローの声に安堵する。
「スターノエル、早急に出撃」
BoNのブリッジの緊張感がこちらまで伝わる。
「小松と雨沢……来たか。これからエンペラーに乗る」
「指揮はどうしますか!?」
「雨沢、弾き振りだ。出来るな?俺がサポートする」
「……わかりました。リイヤ、ドルフィン、迎撃はしなくていい。左右に分かれて……避けろ!」
「やってる!!!」
物凄い重力にジュンの声が重なる!
「ちょっ嘘だろ!!!」
リイヤのちょっと楽し気な声に、危機感が薄まるけど、忘れられた筈の珊瑚は、別の生き物のように枝を伸ばしアタシたちに迫ってきた!
「姉!操縦管!」
「ごめん!」
突然の襲撃に、頭が追い付かない……
さっきまで青い海を心地よく進んでいたのに……!
「何度も覆る……嫌になっちゃうね」
弟が呟いたのが聞こえた。
「でも!なんども切り抜けてきた!」
鼓動がシンクロする——




