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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
蒼い月……——麗しのハニーゴールド
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 目が覚めると、いつも自分は何故ここにいるのかと不安になる。


 桃源郷に、いつ辿り着けるのか。そんなものなんてないのか。


 良く月を見ていたアイツの姿を思い出す。


「ライさん」


 ジンに、どことなく良く似た雨沢あまさわは、HyLA(ハイラ)の本部で出会った時、笑顔で、どこか空っぽだった。


 いや、そんなことは無いかもしれない。


 こいつはまだ若いし、周りからの愛情も集めている。


「バイタル、問題ないようです。どこか痛い場所ありますか?」


「……全部だ」


「お元気そうで」


 雨沢あまさわと話していると、あの頃の気持ちが蘇ってきてしまう。


「情けないな……」


「まぁ、僕に比べたら。初めての搭乗で、30秒で殲滅して帰ってきましたからね」


 そのニュースは観ていた。


 どん底の気持ちに飛び込んで来た光。


 あいつがよく見上げていた、月みたいだと思った。


 ベッドから体を起こして、雨沢あまさわのホログラムモバイルを見つめる。


「何をしてる」


「追ってるんです、真珠の行方をね」


「やはり奪われたか」


「……はい」


「いい。どうせ移したところで、同じことになっていた。むしろエリアBで良かった」


「空間転移も成功しましたしね」


「それは正直、賭けだっただろう」


「僕がいるのに?」


「……むかつく若造だ」


 ジン、お前を思い出してならない。

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