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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
蒼い月……——麗しのハニーゴールド
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 誰の……声か、わからない。


 ……助けて


 ……どうして?


 ……誰か……


 ……愛してる——


 それも全部、闇の中に消えていく……。


あね


 静かに弟に手を握られ、アタシは涙で見上げる。


「終わったよ」


 モニターの向こうの星は消えて、蒼い空……


「格……納庫……」


 蒼い空間の中に、コランダム、スターノエル、そして……コズミナルエンペラーが立っていた。


 あんなにあった圧迫感プレッシャーは、拍子抜けするほどどこかに消えてしまっていた。


 けれど……


「ライさん!」


 通信機がざわついている。


宗一郎そういちろう君、どうしたんだ」


「ライさんが!……三島みしまさん!離脱させます」


「わかった!他のみんなも、順次離脱してほしい」


 コズミナルエンペラーに宿った瞳の闇が消えた。


「ミカ!だいじょぶ!?」


 幸子さちこの声に、一瞬乾いた涙が溢れてくる。


「だ、大丈夫!」


 嘘だ。


 だけどアタシは咄嗟とっさに、そういう風に言った。


「母艦に帰れる設定になってるみたい。戻ってさ、ココア飲も!!」


「ココア?……うん!」


 コランダムの瞳の光も、消えた。


「大丈夫」


 何か言いたげな弟と、言葉を探していそうなジュンに合図をして、アタシは離脱ボタンに手を掛けた。


「先に、行くね」


あね!」


「……何よ」


「お疲れ様!」


「アンタもね。ジュンも、お疲れ」


 そういう風に言うのが、精一杯だった。

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