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ハイドロレイダーの何倍もある強大な闇。
ヴェルべティンレイダーよりも闇に近い、強大な闇色の巨大な機体を見つめて、アタシは声を失った。
けれど不思議と美しいその闇に、惹きつけられそうにもなる。
亜空間格納庫に浮かぶ美しい星の瞬きのような礫と、その奥の強大な闇は……どちらが敵なのだろう。
「姉!」
我に帰り、脚に力を込める。
雷を躱し、目の前を再び見据える。
見える美しさだけが正しさじゃない。
この怖さを、心に問う。
闇は……宗ちゃんの、小松さんの……関野艦長の悲しみの化身かもしれない。
「惑星を統べる皇帝だ。シュウジ」
コズミナルエンペラーの水素針が、闇を集める。
「みんな!コズミナルエンペラーの水素針を狙うんだ!」
「サブロー!どういうこと!?それじゃあ宗ちゃんたちが!!!」
「大丈夫、みっちゃん。信じて」
星礫が、力を溜めていた。
あらゆる負の空気をそこに集めて。
それを奪うように、黒い水素針に闇が集まる。
「は、薄明の光が白炎となる」
「明日、ドキドキするために!」
「たとえ離れていても」
「「「俺/我/私の力を光に変えて」」」
「あの日を思い出すために!」
「誰もひとりじゃない」
「「「降り注げ」」」「思い出せ!」「救ってみせる!」
何度でも、アタシたちは!!!




