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何か出来ることは無かったか
「アクアフルール!!!」
神が作ったバリアシステム。改良され、薄められ、扱い易くはなった。
「だかなァ!」
始祖のこれは、バリアなんかじゃねぇ。
「蒼の瞳!!」
もっと蒼く、青く、深く……ロビーに浮かぶ偽りの星々を、蒼い礫が打ち砕いていく……!
「守るなんてつもりは無かったよなぁ!?」
見捨てた俺を。
……人類を。
「この痛みにはね、意味があるんだよ」
繰り返しそう言ったお前に、出来たことがあったんじゃないのか?
「がっ!」
雷が背中を直撃し、瞳が蒼に変わるのがわかる。
「変幻眼の持ち主か……興味深い」
お前にとって、それだけの興味。
盟友と思っていたのは俺だけだ。
「また俺は、何も出来ないのか……」
傷ついていく基地を、海を、惑星の輝きを……
水素針が、手から抜けていた。
「俺に何が出来ると思ったっていうんだ……」
お前との約束を。
お前の背に無数に刻まれた傷に、俺は追いつくことすら出来ないのか……
「いいんだよ、ライ。だって僕は剣士でもないし、科学者だから」
新しい未来を、作れさえすれば……
「科学者じゃなくて……大統領になっちまったじゃねぇか……」
「ライさん!」
もう、立ち上がることが出来ない。
「誰だ……何だ……その真っ黒な格好は」
「これは……私の罪です」




