表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
遠い幻……——重ねたギルティ
400/742

383

 秋雨あきさめが、利根川に打ち付けているのが見える。


 濁流となった茶色い流れが、黒雨を跳ね飛ばし、いくつもの雷鳴が、遠くに堕ちていた。


「……——いい匂いがする」


 今日やられたものだけではないジンの傷——。


「食べてもいいの?……ライ」


 主任だけじゃない。俺はそれを知っていた。


「動けるならな」


 他人ごとだと言い聞かせて。


「んー……無理かも」


 こんなことで、償いにならない。


「何故、やりかえさない」


 お前の知能なら、すべがあるはずだ。


「うまそう!ブラウンシチューなんて久しぶりだなぁ」


 何故俺の罪を責めない?


「痛みの先の未来をてる……から、かな」


「痛みの先の未来?」


「そう、この真珠はね、ライ。人類の滅亡のトリガーでもあり救国の女神でもあるんだよ」


 こいつが考案した国連科学開発省環境開発部の白衣の認識阻害ポケットから、白い真珠が出てくる。


「機密モバイルUSB入れじゃなく、それを想定してたのか」


「そう。格好いいだろ?」


 こいつを傷だらけにした原因は俺にもあった。


「俺は見ていた」


 それが俺の罪だ。


「何故俺を信じる……」


 ジンは満ち足りたように笑う。


「僕がライを?まぁ、顔のいい奴は嫌いじゃないけどね」


 ベッドに沈み込んで、ジンは雨を見ているようだった。


「君を信じているわけじゃないよ、ライ。僕は僕の直感を信じてるだけだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ