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「小松!もう行け!!!」
「待って下さい!ライさん——」
部下の転送装置は俺が取り付けた。サブローに頼んで。
「コズミナルエネルギー、充填」
青いジャケットも、俺が作ってもらった。
奴が、俺に似合うと言ってくれた青。
「水素針、射出」
サファイアブルーのこの針は、俺を戒める棘だ。
「青い約束か……」
年甲斐もなく筋トレなんかしてみたけど、針を持つ手が震えているのが笑えてくる。
「怖いのか、俺は」
子どもたちですら、闘っているというのに。
「この歳になっても」
いくつもの修羅場を乗り越えて来た筈だ。それなのに。
……盟友の姿を思い出し、片方の手で震える腕に触れる。今度こそ……
「後悔は御免だ!」
サーチモノクルに靄の分布図が映る。
「敵は近い!!!」
エリアBの灰色の通路はレイダーが駆動出来ない!生身の俺では潰されるだけかもしれない!!
「アクアフルール!!!ぐっ」
昔の勘が、衝撃から身を守った。
「それでもなぁ!」
何もないロビーに、悪意の化身は蔓延っていた。
「おぉこれは……差し詰め、壊れかけのプラネタリウムか……」
破壊されたロビーに宙を舞う塵が星空のように……悪意を放っている。
「俺ァもう騙されねェ」
美しさ、ばかりが正しさじゃない。
「そうだろ?…………神様よぉ!?」




