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「ライさん、何があったんですか」
サブローの声色が急に変わった。
昨夜のミーティングを経て、ハイドロレイダーチームのジュン、シュウジ、アタシとコランダムの幸子、サポートとして宗ちゃん(宗ちゃんはハイドロレイダーにもコランダムにも乗れるから、運動性テストのサポートとして選ばれたみたいだ)の5人は、サブローに連れられてエリアBにやって来たのだけど……。
「大丈夫だ、サブロー君。予定通り、レイダー搭乗者の5人を母艦に案内してほしい」
「ちょっライさん!」
「サブローさん、今のが、新しくBoNの艦長になった関野雷三艦長ですか?」
「そうなんだけど……」
なんだか、基地内がバタバタしているように思う。
「穏やかな人なんだけど……」
「どうしました?三島局長」
「や、やめて下さいよリエナさん……そんな呼び方」
リエナさんは篠坂先生が着ているみたいな白衣の真ん中に沢山の書類を抱えて、少し微笑んだ。
「仲がいい子たちの引率とはいえ、勤務中でしょう?レイダー製作管理企画局局長殿」
そうだった、普段、忘れてしまうけど、サブローの所属はどんどん拡大していっていて、今は局長なんだった……
「局長ッ」
「やめてよシュウジ君まで……な、なにかあったんですか?」
「後で話すわ。それより、皆んな、念のため私服から搭乗ジャケットに変換してくれる?」
リエナさんの赤い瞳が警戒の色を帯びている。
何かが、起こっているのだ……
◯◯◯
「拓海」
「どうした三島」
「ごはん……食べたっけ」
「食べたに……決まってるだろう」
「嘘、食べてなくない?俺たち」
「お前がここまで作業するって言ったんだろう」
「そうだけどさ……」
「ハァ、少し休め」
「拓海は?……なんかもう曜日感覚なくなる時あるよね」
「木曜日だ、今日は」
「そうだったね。いい週末にするために、あとひと仕事だ」




