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「うまい!!!」
サブローは野沢菜と卵のおにぎりを両手で頬張って、涙を流している……かどうかはサングラスでわからないけど、なんだかそんな声を出した。サブローは野沢菜のおにぎりが好きらしい。
「いや、シュウジに聞いたんで」
シュウジは何故か、人の好みを知っていたりする。
「味噌汁と合~う~」
確かに、おにぎりとお味噌汁って異様に合う。
からあげもあれば最高なんだけど、うちではからあげを揚げられる人はいなかった。残念。
「で、ライズブレスってなんなんですか?」
「ん!?」
おにぎりに夢中過ぎるだろ!サブローよ!!!
「ごめんね、姉。宗ちゃんと決めたんだ。乗るだと、ライドとかになっちゃって何かしっくりこなくて、ライズならカッコいいかなって」
ネーミングってそんなに大事かな!?
あぁもう、勝手にしてクダサイ!
「ん……?そのなんとかブレス?を持って行ったってことは、宗ちゃんは休み中も乗るってことですか?」
「……本人が希望したんだ。……お兄ちゃんですから。って」
サブローが味噌汁を啜りながら言った。
「ミカ。母がちゃんと、どうしてもピンチな時だけで大丈夫って言ったよ。旅の写真沢山送ってね、って。」
母、グッジョブ!
休み中も前みたいに乗られたら、意味がないと思う。
ちゃんと好きなことしてきて欲しい。
「まぁ、君たちもこれまでどおり、学校に行きながらで構わない。これを見てほしい」
サブローは黄色の、えーっと、ライズブレス……?をちゃぶ台に三つ置いた。




