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「ほいじゃ行こうか」
ん?
「おぅ、シュウジ!」
「「変形!!!」」
「ちょっ」
握っていた碧いカードが灰色の海に揺蕩う。
「シュウジ、失くすぞー」
「キュロス君、私が持つよ」
フィンヨンの白い手が、カードを掴む。
「リイヤ君、リディアさん、掴まって!」
「いや、ちょっ!!」
急なスピード感にアタシはコックピットの中で腰を抜かしていた。
「帰ろう!」
でもアタシは……操縦管を握る!
「早急にな……!」
イルカの姿をしたSealibertydolphin。
アタシの力が加われば加速できる!!
「「「薄明の光が奔流となる!!!」」」
リバティ の可愛い鰭にリディアが手を合わせる。
「私の」
「我の」
「俺の」
「「「力で流れを変えて」」」
尻尾の付け根に、ファントムの尾がくるくると巻き付く。
「「「突き進め!!」」」
途方もない、だけど前に進んでる。
「「「ディストレス!!!」」」
「は、いないけどッ」
「癖だな」
「「「リバティ ストーム!!!!!!」」」
アタシたちはいつか届く!
「「「レーザーーーーー!!!!!」」」
超強力な重量にひっぱられる……けど!リディアとリイヤを連れて、アタシたちは自分たちの世界に高速で帰る——
やるべきことが終わったあとのご飯はおいしい。
みんなでごはんを食べて、アタシは窓から空を見上げる。
秋風が吹いて、アタシは赤い、紅葉を思い出した——
◯◯◯
「あー、見えない!懐中電灯があったらいいのにな」
「ハイ、スリリングライト〜」
「あ、ありがとうってこれ、ミラーボールみたいに色変わるじゃん」
「いいじゃんそういうオモチャだもん。見つかった?姉、今日拾った落ち葉」
「あったあった」
「栞にするの?」
「そ。絶対に忘れないように」
「楽しかったもんね」
「まぁまた行こ、シュウジ」
「えー、いいけど」
「なんだそりゃ。ほら、帰るよ」




