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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
手のひらの石……——風前の紅葉
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 HyLA(ハイラ)本部での会議——。


 司会進行のエリアB副所長のリエナさんという綺麗な赤い髪の女性の説明で、まず東京海底谷(トーキョーキャニオン)の最新部に壊れた海中神殿があったことや、真珠が発見されたことが説明された。


「ミカ」


 部屋が暗くなり、アタシたちが初回に東京海底谷(トーキョーキャニオン)探索した映像が流れる。


「ねぇミカ☆」


「えっ」


 小声で幸子さちこがアタシを呼んでいた。


「ちょっ、今会議中……」

「これ見たじゃん」


 確かに、第一回の探索たんさくのあと、HyLA(ハイラ)-First(ファースト)のアタシたちは何度もこの映像を見た。


 けどアタシはこんな風に静かな時間にふざけるのはドキドキしてしまう。


「ちゃんと、見ようよッ」


 小声で幸子さちこに言ってみるけど、幸子さちこはにっ、と、笑っただけだった。


「うーん、初めのパートは私たちには説明したことだから、忙しかったら来なくていいってサブロー氏言ってたくらいだしさ☆っていうかさ、中庭の紅葉、キレーだったよね。あれ、First(ファースト)のスタッフさんたちが植樹したらしいよ」


 ってことは母もやったのか……って違う違う、会議に集中集中!


「っそ。ほら、ちゃんと聞こうよ」

「まだ同じパートだもん。ねぇなんかミカ、なんかさ、怖い顔してるし、いつでも張り詰めてちゃ疲れちゃうしさ〜」


 そうかもしれないけど……。確かにアタシは、ディストレスから勝ち取った真珠が意味の無いモノだったんじゃないかと思って……心がかたくなっていた。


 他のクラスの人も、研究者の人たちも、真剣ではあるけれど、表情はリラックスしてる。


 少し力を抜いてもいいのかもしれなかった。


「あのね、常夏とこなつもいいけど四季がね、季節を感じることが心にいいみたいだからなんだって。私秋生まれだから嬉しかったんだ」


「まぁ、確かにね……」


 母がやったのかはわからないけど、ハワイの紅葉のこと、なんかサブローらしいし、First(ファースト)のスタッフさんたちらしいと顔が浮かんだりした。


「あ、ミカ、このあと説明に入りそうだよ」


 幸子さちこも聞くところはちゃんと聞いてるし、アタシはちょっとストレッチなんかをしてみた。

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