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「あー居た居たッ」
サブローが本部の本棟から中庭へ駆けて来る。
赤い嵐の中で、何故か少し楽しそうに見える。
「ミカ君、メッセージありがとう!あぁ、みんな居たんだ……」
少し息を切らせて、サブローはやっぱり楽しそうに見えた。
約束を破られたっていうのに、サブローってちょっと変だけど、そういうところに救われることが多いのも事実。
「えっと、ごめんなさい、三島さん」
クス、と笑いながら、宗ちゃんが少し申し訳なさそうに手を合わせる。
「もォー!ごめんじゃないよぉ!!!」
と言いながらも、サブローも楽しそうなのでアタシはちょっとため息をついた。っていうか、なんかカノジョっぽい。
「ごめんなさーい……」
本当に申し訳なさそうなシュウジに、サブローは姿勢を正して、まぁ起きてしまったことは仕方がない。と言って、ふぅ、と息を吐いた。
ジュンとリイヤは、口笛なんて吹いている。
「時間分けないと帰るの遅くなっちゃうからね。しかしこうなったからにはまぁ、ミーティング後、遅くなっても、残ってもらうからね!」
「「「はーい」」」
「俺は別に……」
「全員です!」
宗ちゃんをサブローが掴む。
「観念したら?」
「……なんでみっちゃんは平気なわけ?」
「なんでって……」
アタシにはもっと痛いことがある。でもそれをうまく言えなかった。




