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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
冷たい海……——常しえの水中花
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「明日、ドキドキするために……」


 こんな気持ちで、ドキドキなんて出来ない。


「あの日を思い出すために〜」


「やめて」


「……どーした?ほっしー」


「……ごめん」


 コックピット内のBGMは、チームで共有できるようになっていた。


「三女ちゃんの曲、みんな好きじゃんか」


 そう言いながら、リイヤは音楽を消してくれた。


「好きだよ。……ただ……。そう、怖くってさ」


「確かに、この暗い海に鑑原かがみばら三女の曲は希望がありすぎるかもな。これでどうだ」


 ジュンがかけてくれた古代のゲームミュージック(たしか教会の場面の)は荘厳で美しくて、心が落ち着いた。


「TPOってコトね。ま、了解っ。なー、終わったらみんなでカラオケ行こーぜ!」


「リイヤ君、いいね!僕ももう覚えちゃったんだ」


「どうせリディアも桃菜ももなももう歌えるだろ」


「ノーマンは帰省中だろ?戻って来てからがいいのでは?」


 ジュン、カラオケとか行くんだ……。アタシは行かないタイプ。でも、小学校の時のみんなとハピたんの曲はよく歌った。心が楽しくなるんだよね。


 でも。


 今は雲の向こうに隠れてしまっているような、楽しかったことがまるで自分の記憶じゃないみたいに遠くて、よく思い出せない。


 好きだった歌も、思い出も、幸子さちこの笑顔もいくつもあるはずなのに。


 嫌われてるかもしれない。その思いにとらわれて。

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