342
マンハッタンの校門から続く細い路地に、月明かりが落ちていた。
白い月明かり。
頼りないその光は、綺麗で、儚い。
前を歩く宗ちゃんは、少し考えこんでから、ぼそっと呟いた。
「うーん。俺、友だちいないからなぁ……」
「え?」
友だちが何か思ってそうな時、宗ちゃんならどうする?
そんな疑問の応えがそれだった。
「い、いや、宗ちゃん友だち多いじゃん……」
「そう?……でもシュウジは弟だし、あとはみんな同僚って感じだしね」
「友だちと仲間って違うの?」
「うーん……友だちがいたことが無いからなぁ……」
いやそんなコトないでしょ!……少なくとも、あの日よりも前には。それに、みんなだって……。
「まぁ同じ目的に向けて協力する者たち……?という感じかな。仲間って」
そんなこと言ったら、幸子は仲間でもあるのかもしれない。
「信じて、何か話してくれるのを待つのも、一つの方法なんじゃないのかな」
でもそんな風に言うなら何で、宗ちゃんはジュンや玲鷗をご飯に誘うんだろう。
同じ目的を持つ者たち……。
アタシと幸子はそれだけじゃ無い。
けど答えが出ない。
どうすればいいのかも。
「まぁ、今日はゆっくり寝たら?」
今夜こそ幸子は来るかもしれない。少し寝かせた美味しいカレーを食べに。
いつも通りの輝きを放って。




