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「うーん……わからん」
琥珀色の石がついた猫の姿のイヤリング。
ゆらゆら揺らしても、答えが出ることはなかった。
「綺麗だね、それ」
「あ、ありがとう。ロボ奈ちゃんがくれた猫のピンも気に入ってるよ」
アタシのセーラー服のシルバーグレーのスカーフを留めるグレーパールの石がついた猫のピン。心の上でキラキラと光って、勇気を貰える。
「私のチェルシーブーツはどう?」
夏休み、とても素敵になったレイチェルさんは、屋上カフェのカフェラテが似合う。
「あ、気に入ってます」
黒のチェルシーブーツは雨の日に履いたせいか色が少し落ちてきてグレーがかって来たけど、それがかえっていい感じになって来ていると思う。
けどアタシはため息をついた。
「どうしたの?ほっしー?」
「いや、えーと……」
昨日、幸子がカレーを食べに来なかった。
いや別に、ご飯を食べに来ない日も沢山あって、たまたまかもしれない。
だけど何かアタシには予感があって、一縷の望みをかけて索捜感応チャネリングイヤリングなんてつけてみたけど、人の心の中をアイテムで理解するなんて出来るわけがないのだ。
「あ」
幸子がこっちに向かってくる。
その表情はいつも通りな気もしたし、曇っているようにも感じた。
何で昨日、来なかったんだろう。




