表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
9月の月……——刻遺のクリザンテーム
351/748

338

「お疲れ様!」


 薄暗い、狭い和室が、久しぶりに静かだった。

 サッシの向こう側には灰色の夜が降りて来ていて、ペンダントライトが静かに輝いている。


「母。……なんか久しぶり」


 皆の星ヶ咲(ほしがさき)さんになってしまっている母は、夏休み最後の旅行の間離れていたせいもあってか、久しぶりにアタシの母だと思える感じがなんだか気恥しいような気がしたけど、アタシは注がれた麦茶をごくごくと飲み込んでお茶をにごした。

(リイヤやジュンは完全にHyLA(ハイラ)控室スタッフの搭乗者パイロットマネージャーの人と思っていそうだ。母はHyLA(ハイラ)-First(ファースト)の総務兼、サブローが所属する企画制作部のマネージャーチームに所属しているけれど、搭乗者アタシたちのマネージャーではないのだ!)


 まァ、母が頼られたりしたわれたりするのは嫌な気はしないケド。


「嘘、母髪切った?」


「あぁこれ?ミカたちが旅行してる間にね。いいでしょ?」


 今朝も会ったのに、気づかなかった。


 もともと、テニス少女のような溌剌はつらつとしたショートカットが、さらに短くベリーショートになっていて、なかなかさわやかだ。


「いいじゃん」


 気づかなかった罪悪感を、麦茶を飲んでやり過ごす。


 母は気にしないかのように鼻唄を歌い、カレーを盛り付けていた。


「シュウジ、部活で遅いみたいだから食べちゃお!」


 はじまった新しい生活。


 アタシのお腹はぺこぺこだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ