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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
9月の月……——刻遺のクリザンテーム
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 せみの声がジジジジ……と聞こえていた。


 マンハッタンを一望出来るテラスには、夏休み前にはなかった一本のオークが植えられ、木陰となった芝生しばふがいい感じだ。


「でもまだ暑いねー☆」


 幸子さちこがアイスティーの氷をストローでカラカラ鳴らす音が涼し気だけど、まだ、外でランチをするのは失敗したかもしれない。


 ロボちゃんはだらだら溶けていくシェイブアイスを懸命に飲み込み、舌がいちご色に染まっていた。


せみめ……」


 ニューヨーク風のジャズでも聴こえてきそうなテラスにあんまり似合わないかつ丼(でもHylab(ハイラボ)(2組)の屋上食堂カフェには和食もある……!そしておいしい)を食べながら、新学期、何かあったかと言わんばかりにすっかり魔王で登校してきたジュンがうめいた。


「美味しいわよね」


 みんながレイチェルさんを見た。


 久しぶりに見たレイチェルさんは、長かったストロベリーブロンドをバッサリ切っていて、前髪長めのストレートボブが凄く大人っぽい。


「グレイ財閥ざいばつ……、まさか食うのか?」


「ちょっとサガラ君、そんな呼び方しないでいただきたいわ。レイチェルと呼んでくださる?」


「……われは女子を名前で呼ぶことはない。呼ぶとしたらレイさんだ」


「ま、まぁいいわよ」


 クラスが始まるのは楽しみでもあったし、面倒でもあった。


 でもこんな時間は、やっぱり嬉しい。

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