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白い、真っ白い石の上を、丁寧に歩いた。
静かな波の音——。
ここがアタシの桃源郷かもしれない。
見上げると雲に覆われた白い空。
時折雲間から太陽が降りて来る。幸運のメタファーみたいに。
不安定に、それでも綺麗に揺れて輝く海。
柔らかく存在を示す岩たちが見守る白い石の海岸で、仲間……と呼べる人たちが、思い思いに石の上を歩いている。
……あ、シュウジとリイヤは入ってるね、海に。着替えどうするんだろ。
「ミーッカ!!☆☆☆」
「な、なに!?」
腕を引っ張られてよろけそうになるのを幸子が受け止める。
「ねーアッチ!可愛い岩あった☆リディアちゃんも行こっ☆☆☆」
「ちょ、ちょっと、ゆっくり行こうよ!」
友だちに引かれる腕は、少し熱くて、ドキドキする。
「行こう、ほっしーちゃん」
「ちょっリディアまで!」
必死に、だけど引かれた腕に応えられるように、きゅっ、っと唇を結ぶ。
「ハァ……ハァ、えっ……星じゃん!」
三日月の先に星。
……の岩が波間に聳えていた。
「凄いよね、地球の芸術」
「スケール大きいね……」
なんて言いながら、アタシは感動していた。
離れた場所で、由子さんとマックスも同じ景色を見ていた。
「なんで来なかったのかな……」
「えっ?」
アタシの思いを、リディアが呟いた。




