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「夏の疲れが出る頃だと思ってね。一度きちんと調べておきたくってさ」
HyLAパイロット健康診断の参加特典のリンゴジュースを飲みながら、アタシは結果を待っていた。
何これおいし!!!
「ウエストバージニアと青森のりんごのブレンドジュースだ。お替りもあるよ」
「……飲みます」
アタシは二本目もすぐに飲み干してしまった。
夏のフルーツジュースってなんでこんなに美味しいんだろ……。
とくとくとビタミンに満たされていって、疲れてるのにすぅっとした気持ちになる。
「ふむ、血液、イオンバランス、脳波……すべて異常なしだ。優秀、優秀」
「あの、サブロー。身長は……」
「153.2かな。大丈夫大丈夫、ミカ君はまだ中1だしね」
小さくても可愛い人がいる。……というかそれが魅力になることが多いと思う。
でもアタシの場合は、やっぱり速く走りたかったり、力も、運動能力をつけたいとアタシなりに思っていた。
地道に努力して、今は腹筋もうっすらふたつに割れ始めてる。元もやしっ子のアタシにしては、本当に凄いことだ!
けどでも、……足りない。
エクセキュートブレードも、リバティの速度も、今のアタシの体には負担なのだ。
「偉いな、ミカ君は。どうだい?もう一本飲むかい?」
「…………飲みます」
自棄みたいに呷ったりんごの味は甘くて美味しかった。
「ミカ君、ところで、明日って時間あるかな?」
「え?……ありますけど」
「そっか。……ちょっとシュウジ君と一緒に、つきあってほしい場所があるんだけど、いいかな?」




