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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
ミルキーウェイ……——ゆく夏のアサガオ
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 スネアドラムと、バスドラムのリズムが規則的にビートを刻んでいる。


 アタシは薄いベッドに横たわり、何も無い天井を見ていた。


「ミカ君、MRIは初めて?」


「いえ。昔一度」


 スピーカーからサブローの声が聴こえていた。


「そうか……、怖かったら、手元のブザーを握って欲しい。無理はしないでいい」


「大丈夫です。前の時も、大丈夫だったので」


 小学生の頃、原因不明の頭痛に襲われて、アタシはMRIを経験したことがあった。


 宇宙船みたいな無機質な室内の小さなベッド。


 ヘッドセットが装着されて、ゆっくりとカプセルの中に詰め込まれていく。


 鼓動にも似た規則的なドラムの音に、耳に響く電子音。


 このままアタシは壊されてしまうんじゃないかという恐怖と、横たわっているだけで解析してもらえる胎児のような不安定な安心感で、その時はアタシは泣きそうだったけど、今はサブローの声と、……コックピットの緊張感のほうが怖いと思う。


 何もしなくていいんだ。


 ……今は、何もしなくてもいいんだ……。


「リラックスできたら、寝てしまってもいいからね」


 手のひらを開く。


 何もせずとも調べてもらえるなんて、安心でしかない。


 ジンジン響く電子音に時々びく、っとしながら、アタシはゆっくり息を吐いた。


「はい、終わったよ。おつかれ様、ミカ君」


「ありがとうございました」

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