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「みっちゃんもやる?」
宗ちゃんは一応、そう聞く。
「……やろうかな」
なんて言ってみる。
「えっやろうよやろうよ!!!」
嬉しそうにシュウジがコントローラーを渡してくる。
アタシだってゲーム、やったことないわけではない。小学校の友だちの家でみんなで集まる時は、誰かしらゲームをやってたし、ぷよぷよとした生き物を落として繋げるゲームは結構得意だったりした。
やってみれば、楽しいことはたくさんあるって本当は分かってる。
綺麗な絵本を見たり、家族や友だちの笑顔を見たり、音楽を聴いたり、色を塗ったり、手紙を書いたりするのも好きだ。
もちろん、楓を撫でたりすることも。
ドゴォーーーッ……——ン!!!
「落ちた!!!」
宗ちゃんがサッシを開けて、赤紫に怪しくビカビカ光る空を見上げる。
「ちょっと!!!」
アタシは慌てて窓の周りの畳にバスタオルをかけた!!
「全部ビショビショ!!」
「まぁ夏だから。見て、姉、凄いよ……」
地下基地の中は、実際の天気と連動してる。
基地の中で雷が落ちたとすれば、実際に落ちたのだ……。
「なんか、ジュン君が好きそうな空の色だね。大丈夫だよ姉。東京の街には、避雷針も、現代の傘にはアースが付いてるし!」
「そうだけど……」
アタシはなぜか、胸騒ぎがしたのだ。




