31
宗ちゃんは、ついさっきと同じように、ちゃぶ台に座った。
「宗ちゃん凄いよ!」
シュウジが目を輝かせている。
母は並々の麦茶を宗ちゃんの前に置いた。
「完璧だよ!宗一郎君!!!」
「そうですか?これでみっちゃんとシュウジが学校に行けますかね」
テレビには、まだブレイズレイダーが写っている。
「いや、どうして宗ちゃんがここに?ていうか……なんで!?」
アタシは宗ちゃんを睨んだ。
アタシはシュウジみたいに受け入れられない。急に、何でも話せる兄が居なくなってしまって、辛かったのは……辛かったのは!……アタシだけなの!?
「……腕輪のワープは一方通行なんだ。コックピットのカプセルは、トレーニングルームのカプセルに繋がっていて、メディカルチェックの後、この区画にワープできるようになっている。レイダーは HyLAが事後に回収して、メンテナンスルームにワープさせるんだ。それで……そうだね、宗一郎君が言うように、基本的には、手分けして貰って大丈夫だ。ミカ君とシュウジ君は、だいぶ休めることになるし、そうだね、今はみんな休んでもらっていて大丈夫だ」
今は……
そう、ホーリーチェリーは三年前に開花し、三年後、別の場所に根付いた。
「シュウジ、学校好きだしさ」
……言い訳のように、宗ちゃんが言った。
「実華、宗ちゃん、コーヒー飲みなよ」
猫のマグカップと、緋色のマグカップから苦い湯気が登った。




