表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
光のほうへ……——終わらない夏
308/744

299

「それで、リディア・ノーマン君、乗ってみて、どうだったかい?」


 次は俺がかれるのか、と思いながらリディアの意見を聞く。


おおむねリハーサル通りでした。とはいえ、一人では時間がかかるか……失敗していたかもしれません。キュロス君が来てくれて助かりました」


 げっ、俺はトレーニング通りじゃ無かった。


 ……というか、必死過ぎて記憶が曖昧あいまいだ。

 リディアのやつ、そんな冷静だったのかよ……。


「リイヤ・キュロス君はどうだったかい?」


 三島みしまさんもナリは変わってるけど、そうと似た雰囲気がある気がした。笑われたりは……しないだろう。自分のコトバで言うしかない。


「えっと、怖かったす」


 正直な気持ちだった。……ほっしーが凄い勢いでうなずいてる。


「でも……なんていうか、やれば出来るじゃんっていうか、もちろん!リディアがいなかったら無理だったんですけど。それでも、俺が子どもだからとか、やり始めたばっかとか、そうなんですけど、やらなきゃ分からなかった達成感っていうか」


 メルトが背中を押してくれたことを思い出したり、いい気分だ。


「ポジティブだな」


 ジュンがぼそっと言った。


「俺は怖いままだ」


 それも分かる。予想してないことが、あり得ない間隔で起こる。どこまでやれば正解なのか、どんな意味があるのか、見失いそうになる。


 けど、無意識にこの状況に辿りつくことを決めたのはたぶん、自分だ。偶然でも、流されたとしても、引き返すタイミングもあったはずだ。


「分かるよ」


 三島みしまさんも、俺たちを見てそう言った。


「……大変な状況に慣れて欲しくはないからね。痛かったり苦しかったり……ネガティブな気持ちも、共有して欲しい」




◯◯◯

「僕がやらなくちゃ!」


 蝉の声が聴こえていた。アイスバーが溶けかけている。


「やめときなよ」


 移動教室の実行委員なんて、夏休み中活動が無い部活のコにやってもらえばいいのだ。アタシは姉として、シュウジに無理させるわけにはいかない。


「山杉君にやってもらえば?彼、遠足の実行委員も経験あるでしょ?」


「そうだけど……山杉君に比べたら、僕なんてダメかもしれないけど……それでも、僕の力でやってみたいんだ!」


 シュウジの突然の思いつきに振り回されるのは結局母やアタシだ。それでも……


「姉や母に夏休み中の家事の負担かけるかもだけど……お願い!お願い!!お願ーい!!!」


 いつだって諦めず、挑戦し続ける君を最後には応援してしまう。


「しょうがないなー!!!」


 アタシもまた頑張るか!


 君の姿は、永遠にみんなの心の中に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ