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「適合検査の結果、おそらく君は、搭乗者に適した人材になれる可能性が高い。けれど、モンテレイサイエンスアカデミックハイスクールはいい学校だ。君が卒業してからでもHyLAは構わない」
「もう決めたんです」
面接室は、赤い湖と言われるラグナ・コロラダの湖畔に在った。
(もちろん、機関の人がモンテレイまで迎えに来てくれて、ワープで行った)
「君は機関の学習室に編入ということになる」
「分かりました」
俺は、窓の外に見える赤い湖に気持ちを移していた。決まったからには迷いたくない。
「怪我をするかもしれないし、初代機関メンバーは……命を失っている」
緋色の男は、ゴーグルを外していた。
「……イケメンかよ!」
黒い宝石みたいな瞳が、窓の外を見つめながら言った。
「雨沢宗一郎。君と同じ学年だ」
「へ、へぇ。つーかやっぱ危険なんだ」
日和る気持ちが普通に湧いて来る。
「ジョン」
「は?」
雨沢がぼそっと何か言った。
「じーさんちで一緒に暮らしてたグレーのゴールデンドゥードゥル」
「……ゴールデンドゥードゥルは普通白か茶色っぽい感じだろ?他の血統が入ってんじゃないか?」
「わからない。でもジョンはそういう色だった」
「……IOP消失で?」
「いや、大往生だった」




