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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
AId、台頭……——降り注げ!白炎の光
3/654

02

 炒飯チャーハンのお皿を洗って、

 アタシはかえでの優しいグレーの、ふわふわの背中を撫でた。


 かえでが居なかったら……。

 アタシは、アタシたちは生きていけない。



「お姉ちゃん、これは猫じゃない?」


 小さい頃の、シュウジの声が蘇る。

 まだアタシをお姉ちゃんと呼んでいたシュウジの声。

 昔の記憶。


 シュウジの小さな手のひらの上には、

 小さなけもののような……

 消し炭のような、かえでが居た。


「これが猫!?……嘘ッ」


 幼いアタシは動揺していた。

 生命とAIの混血。人類の悲嘆。

 これは野生のArtificial Intelligence of distress、悲しみの人工知能……ではないだろうか。


「……猫って言うのはさ!この絵本みたいなさ、あっ」


 消し炭のけものは、物凄い力でアタシたちの絵本を叩き落とした。


「シュウジ!噛まれるよ!!!」

「だ、大丈夫だよ!!!!!!」


「大丈夫だよ……」


 弟は昔から誰からも好かれた。


「大丈夫だよ。ほら、ここのところに耳があるでしょ」


 弟が指差した先に、くしゃくしゃの塊の小さな一部に、三角の小さなぴらぴらがピコピコと動いていた。

 弟の小さな、短い手。

 包まれたかえでは、次第に落ち着いた。


「絵本に出てくる猫と同じ、可愛い猫だと思うよ」

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