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信じて——
と言える程、長いわけじゃない。
心配してると思う。実績なんてない。
けど、あなたのことが好き。
一方的な気持ち。
心配もしてなくて、今頃素敵なことしてるかもしれない。
それでも。
「リディア君、心の準備はいいかな?」
「大丈夫です、三島さん」
「君にとっては初の実践だ。……無理はしないでくれよ?」
「わかっています」
あなたが居なかったら、私の未来は無かった。
「流石、頼もしいね!」
「ありがとうございます」
私を好きでなくてもいい。今日が最後でも、あなたの歴史を紡ぐ、時間稼ぎにしかなれなくても……
「リディア!!!」
「……——ほっしーちゃん……?」
コックピットに、次々に声が入って来る。
「リディア、沢山訓練してたもんなァ。頑張れよ!!!」
歯磨きのコマーシャルみたいな、霧谷君の笑顔が浮かぶ。
「ノーマンの水中神竜もビジュが良いではないか……」
「ちょ、ジュン今それ関係ない!リディア!あ、あー……これ繋がってるよね!?」
ほっしーちゃんが通信機をパシパシ叩く音になんだか笑ってしまう。
「……繋がってるよ」
「よ、良かった!えとリディア!だ……大丈夫だからね!怖いかもだけど、ボタン押せばすぐ離脱できるから、忘れないで!」
あなたは知らない。
あなたの声が、生き方が、笑顔が、どんな風に周りを救ってきたか。
「……うん」




