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「ね、ところでリディア、神様になれなかったって、どういうことなの?」
お腹もだいぶ満たされてきて、アタシは気になっていたことを聞いた。
リディアは先輩だけど、アタシよりも小柄で可愛い。……けど、意外にもご飯を食べるのは凄く早くて、アタシと同じ丼ぶりを既にペロリと食べ終わっていた。
い、急いで食べなきゃ!と箸を動かそうとしたら、リディアが言った。
「大丈夫、ゆっくりで。……んと、シンプルにいうと、恋……?かな」
「コイ?」
セットのりんごジュースもすっごくおいしい。コイ……鯉……恋か???
アタシの小学校って牧歌的なタイプの人ばっかりで、それが居心地良かったけれど……聞き慣れない単語をアタシは反芻した。まぁアタシの知らないところで、ロマンスがあったかもしれないし、物語の世界のロマンスならアタシだって知っている。
「昔ね、この地に頑張りやで素敵なお姫様が居たんだって。でもね、お姫様は頑張って、頑張って生きて、そして命尽きる前に神様になったの。そんなお姫様に憧れて、焦がれた白蛇様が、お姫様を追って湖に入ってしまって。その化石が、入口の白蛇様なんだ」
「へぇ、それなら白蛇様も神様みたいだね。目印になるし、綺麗だし」
「そっか」
リディアは不思議そうな顔をした。
「そうかもね」




