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時間が、刻、一刻と過ぎていく。
アタシの息は絶え絶えで、脹脛がおかしなリズムで脈打っていた。
階段は、下りのほうが辛い……。
それが分かった。
……それにしても、キレイ。
銀色の魚たちが織りなす光が、白い泡の向こうでキラキラと輝いている。
どこまで進んでも碧いこの空間は、アタシの心に似ていた。
いやいや、アタシの心はこんなに綺麗じゃない。
でも、不思議と懐かしい気持ちがしていた。
青い、碧の中を降りていく。
時々光が煌めいて揺らぎ、そして静謐な、そして、空虚でもある怖いくらい綺麗な碧。
そしてまた静かに、光がきらめく。
耳の後ろを、汗が落ちていく。
アタシは一人では無かった。
今も、そして今までも。
でもこんな碧の中を降りていく時はいつも、心は一人だ。
……ピー、ピー、ピー……。
アタシは汗を拭って、ホログラムモバイルを立ち上げた。
ジュンと玲鷗にも届いていたみたいで、少し先の通路で立ち止まっていた。
「ぐあぁ!!!」
「何!?」
玲鷗の叫びに、アタシは駆け降りた!
「……」
無言で差し出された玲鷗のモバイルに、BBQを囲むシュウジと母とサブローの姿が映し出されている。
いやいや、こっちは真面目にやってるんですけど!?
でもちょっとだけ、息が楽になった感じがした。




