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日本で最も深い湖。
その深さは400メートルをゆうに超え、東京タワーがすっぽりと入ってしまう深さだ。
遠浅の岸辺には、白い砂浜。
白からコバルトブルーのグラデーションを泳ぐことも出来る美しい避暑地。
秋には美しい紅葉、冬には白い雪と宝石のような碧い湖面の色調の美。
その風景を見ているだけで、不思議と心が落ち着くのだ……
と思うけど。
アタシの心拍数はバクンバクンと上がっていて、心は泡立っていた。
「ちょ……ちょと待っ……て……玲鷗!!ジュン!!!」
「なんだほっしー、日が暮れてしまうぞ」
「担いでやろうか?」
「かつ……?いいです!!」
アタシは神輿じゃない!
確かに玲鷗なら肩に人間の一人や二人、担げそうだけども!
「ちょっと速いよ……ふたりとも……」
「まぁ10時までに着けばいいからナァ。少しゆっくり行くか」
「そうして下さい!」
アタシは制服のポケットからハンカチを取り出して汗を拭った。
体操服で来るんだった……。
確かにこのアクアトンネル——……コバルトブルーの中を下ってくのは息を飲むほど綺麗。
ウグイ、クニマスのキラキラした背中。
淡水白イルカの可愛らしい微笑み。
淡水マンタの雄大な揺めき。
全てに心が奪われるけれどもなんでこの螺旋通路、スロープじゃないの!?




