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朝ご飯にいただくサクサクのクロワッサンってなんておいしいんだろう。
お代わりの紅茶を飲みながら、これだけで早起きしたかいがあった。
なんなら一眠りするくらいの時間もあるなぁなんて思いながら、アタシは母とシュウジに宛ててメモを書く。陽だまりのリビングで、母がくれたペンをキラキラと走らせると、未来が明るくなってくる気がして早起きして良かった。
「ほっしー、何してるんだ?」
柔らかな朝陽を浴びながら、魔王がこちらを見ている。
「いやさ、ここって予約すれば誰でも来れるでしょ?メニューを写しておいて、母とかに見せようと思ってさ」
いつも頑張っている母をいつかここに連れて来てあげたい。
宿泊室は、猫もオーケーという星ヶ咲家には嬉しいオプション付きだ。
「そうか……」
「ん?」
ジュンの声色が曇った気がした。
「いや、いいんじゃないか。魔法使いでも出そうなこの感じ、シュウジも好きそうだ」
でしょうね!
元気な時って、不思議と筆がするすると進む。メモの端に、いつもありがとうなんて書いてみる。
「制服の内ポケットは着用者の細胞外液でロック出来る仕様らしいぞ」
「へぇ」
ってまたそれ!?っていうか玲鷗なんでそんなこと知ってるの!?
訝しみながらも、アタシはメモをセーラー服の内ポケットに丁寧にしまった。うん、icomの要領でロック出来たみたい。
「さ、飲み干したら行こう、案内する」
「うん」
って……
玲鷗に連れて行かれた先の景色に、アタシは言葉を失った。




