271
……とはいえイヤリング装置しっ放しはかなり疲れることが分かった。
と言っても今のところは、夜いつもより早い時間に急激に眠くなる程度だけど、アタシだっていろいろやることがあるのだ。
だからライズブレスをワープシートに変化させるタイミングで、耳に装着される設定にしてもらった。
それに可愛いんだけど、キラキラ……キラッキラ目立つからね。
アタシの場合は、クラスの中のひとりの本が好きなほっしー。というアタシが一番落ち着くのだ。
もちろん、やることはやる。
アタシに出来ることだったらなんだってね。
シュウジたちみたいに、何か壮大な夢みたいなものがあるわけじゃない。
これが夢だと語れるものは、アタシにはない。
たぶんアタシは、楓をゆっくり撫でたり、友だちとお喋りしたり、お茶を飲んだり。そういう日常が毎日あるのなら、アタシはそれでいい。
でもそんな日常のためにアタシだから出来ること。
それがあるならやるしかないのだ。
迷いながらでも、不安でも。
……柔らかい雨の音が、空から降りてくる。
その一粒、ひとつぶが、雲間から降りてくる真っ白な薄明かりを拾って、淡い光を拡散させる。
霧のような淡い世界は、ゆっくり、ゆっくりと傷ついた心を癒していく。
「ほっしー、先日は見事だった」
昼休みのカフェ。オーニングシェードの雨の下。
「……ありがと」
素直にそう言えたのは、たぶん雨のせいだと思う。




