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誕生日の朝、目覚めたアタシの枕元には、沢山のプレゼントで溢れていた。
薔薇の花のいい匂い。
キラキラのスノードームの光に、思わず朝から笑みが溢れてしまった。
隣の部屋の四畳半のちゃぶ台にはシュウジが座っていて、緑の怪獣と赤い獣のキャラクターの、面白い番組を見ている。
「あのさ、これくれたのシュウジじゃない?」
オーロラと薔薇が閉じ込められた、スノードームを見せる。
アタシの手の動きに合わせて、ドームが朝日を吸い込んで手の周りをふわっと美しい光に包んで本当に綺麗。
「バレたか」
シュウジの屈託の無い笑顔は、どんな人でも毒気を抜かれてしまう。
「ありがと!」
朝からわくわくした気持ちになってしまう。
母が、ローズティーを淹れてくれた。
部屋中に銀色の薔薇の鉢と緋色の薔薇の鉢が飾られていて、優雅な気持ちに包まれる。
「ね、姉、他のも開けてみたら?」
促されて、ひとつずつ包みを解いていく。
銀で出来たレーザーペンシル、季節の紅茶セット、ルビーのピンキーリング、アメジストが施されたトランプ、若草色の……超合金ダンベル!?本に取り付けられるシンプルなブックライト、それに、猫目石のイヤリングに彗星カスタネット。
全部が宝物になりそう。
「ありがとう……嬉しい」
誰にともなく、呟く。
「良かったじゃん。朝ごはん食べよ」
誕生日の朝はパンケーキ。
夜はケーキとメロン。
そしてフルーツパンチを楽しむのだ。




