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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
六月のブルー……——灰色の雨
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「生徒たちをありがとう」


 薄暗いジオラマルーム。悲しいくらいに青いブルーホールだけが、あの悲劇の深淵を物語っている。


 あの頃を思い出す。


 拓海たくみに初めて会った時、こいつはこんな風に一人で、消えてしまった大世界の人工島(アイランドオブピース)を見つめていた。


「指揮したのは雨沢あまさわだ」


 仁花あねの最愛の男——俺の親友であり、罪を背負う共犯者——。


「室内でも外さないのか」


 仁花にかに貰ったサングラスを俺は外したことが無い。


「……羨ましい?」


「……ああ」


 拓海こいつがこんな風に素直な時は、落ち込んでいる時だ。


「……あげないけどね」


「……俺には似合わない」


 仁花にかが俺のためにオーダーメイドしたサングラス。特別な関係だったとはいえ、お前に似合ってたまるかという気持ちになるのは我ながら大人気ないが、姉弟は案外そういうものじゃないだろうか。


三島みしま、俺を恨んでいるのか」


「俺が?なんでだよ」


 仁花にか拓海たくみとのことがあっても無くても、自分の役割を捨てるようなあねでは無い。


 そればかりか、仮に拓海たくみが事前に仁花にかを俺のところに逃がそうとしたら……仁花にか拓海たくみを恨んだと思う。


「巻き込み続けるのか」


「人聞きが悪いな。彼らの為でもある」


三島みしま、お前は全ての選択肢を伝えてはいない。今からでも……」


拓海たくみ、すべてを伝えることだけが信頼じゃないだろう?俺たちが諦めるっていうのか」


 ……この場所で生きていくということを——

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