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「……雨?」
三日も映画館に篭っていたら気持ちが落ちついてきて、アタシは図書室の窓から空を眺めていた。
ずっと天気が良かった空から、綺麗な雨が降る。
「みっちゃん雨好きだもんね」
「宗ちゃんもでしょ」
下のお母さんの好きな薔薇が咲く季節がやって来る。
皆んなで雨を待って、家の中で過ごして、雨が上がったら虹の下で、手を繋いで花壇の周りを歩くのだ。
「雨の音を聴きながら、読書っていいもんね」
「まぁね」
それにアタシの生まれた月。
その日はクリスマスみたいに、目が覚めると沢山のプレゼントに卵焼きの匂い。
4年前まではそうだった。
楽しかった思い出が失われたことを思い出したくなくて、委員会の仕事を入れたりしてそんなことも忘れてしまっていた。
もう、パターンが読めて来ているけれど、きっとシュウジと幸子が今年は何かするんだろう。
「みっちゃん、何かいい映画あった?」
結局、アタシは授業の予習をしてる。
皆んなに比べたら、凄いことでは無いかも知れないけれど。
「別に。シュウジと宗ちゃんがいつも観てる映画をずっと観てただけ」
「あぁ〜、あれか。ギミックが良いよね。構造はレトロだけど」
アタシには分かりません!
……でも何故かシリーズ三作、繰り返し流れるコメディに、アタシは結局笑わされてしまったのだ。




