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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
六月のブルー……——灰色の雨
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 結局アタシは一人で、映画館(シアター)のアームレストに寄りかかっている。


 映し出される古代の古い映画……。


 シュウジの大好きな映画やつだ。


 タイムトラベルSFのストーリーは前に観た時はドキドキ、ハラハラして面白かったけど、何故だか今日は悲しかった。


 タイムマシンは、実際発明された。


 ……けど、歴史を改変するのは罪だし、古い法律でタイムトラベルは禁止され、その技術はロストされた。


 アタシたちは過去を乗り越えて今を生き、未来はまっ白だ。


 それが人生。


 けれどあの時にもし戻れたら。


 未来を先に知ることが出来たなら。


 干渉出来るなら変えたいことがあり過ぎるのが今の自分だ。


 純粋にコメディを楽しめていた自分に、いつか戻ることが出来るのだろうか。


 アタシの些細な行動でいくつものタイムパラドックスが起こるなら、今のアタシは正解なんだろうか。


 沢山の人に出会って、頭がパンクしそうだった。


 ついていくのに必死で、好きなことも、何がしたいかも、これでいいのかも分からなくなる。


 けど、主人公はいつだって奇跡を起こすのだ。


 何度失敗しても、ピンチを迎えても。


 映画館(シアター)のスピーカーから流れる雷の音に、涙が流れる。


(ここ、シュウジの好きなシーンだ……)


 アタシは一人で泣きたかったんだ。

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