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「キィィィィィィイィ〜ンッ!!!」
「わっ!」
「みっちゃん!!」
宗ちゃんも見た目は細いけど結構鍛えている筈なのに、ロボ菜ちゃんの勢いにアタシたちは跳ね飛ばされて甲板を転がった。
「ぎゃっ!ごめーん!!!」
慌てて駆け寄るこの華奢な少女のどこにそんな力があるのだろう……でも、ロボ菜ちゃんがすっかり元気みたいで良かった。
「強いね、糸生さん」
二人に引っ張られてアタシもどうにか立ち上がった。
「いや〜……朝のランニングをって思って」
「いつも、やってるの?」
アタシは訊いた。
「ウン!」
力強い笑顔が可愛い。
なんて思ってると、遠くから、太鼓の音が聴こえる。
甲板を爽やかな海風が通り抜ける。
「……カホン……かな」
「カホン?」
「俺も詳しくないけど、ランドオブサウスの楽器かな」
広い甲板の向こうのほう、宗ちゃんの視線の向こうに、小さい箪笥(?)みたいな箱を軽快に叩くマックスが見えた。
南の空と太陽を思わせる軽快なリズムに、心が嬉しくなる。
「ハピ……幸子もいるね」
カホンの隣には、太鼓のリズムを噛み締めながら、リゾートなイスとテーブルで何かを一心不乱に書いている幸子が見えた。
「1組の課題なのかな。マックスと幸子さん、同じクラスだしね」
「可愛いよね!幸子って!」
にっこりするロボ菜ちゃんこそ可愛いと思う。




