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「どうしたの!?」
宗ちゃんのコックピットが迫り上がっていく。
モニターは全て消えてしまった。
——宗ちゃんの手元に縮小された、メインモニター以外は。
「総員、サルベージ警防体制解除。これより順次、パイロットの回収及びレイダーの格納を行う」
「お、終わったってことだよね!?宗ちゃん!!!」
宗ちゃんは応えない。
「Hylab生徒の皆さん、医務室はこちらです」
ブリリア・オブ・ノアのスタッフの人たちはアタシを宗ちゃんから引き離そうとしてるように思って、アタシは叫んだ。
「宗ちゃん!終わったんだよね!?」
「こちらです」
「——っ!待って下さい!!」
……嫌な予感がした。ロボ菜ちゃんは……リイヤは、玲鷗は無事なの!?
「ミカ」
幸子がアタシの手首を引いた。
「行こう、……私たちに出来ることは、無いってコトだよ」
「元から出来ることは無かったがな」
ジュンも椅子から立ち上がった。
……そうだ。アタシに出来ることなんて……。
「……まぁ、少なくとも、空手少女には必要かもしれないがな。お前たちの付き添いが」
「ちょっとジュン氏!空手少女ってロボ菜ちゃんのこと?ロボ菜ちゃんがやってるのは少林寺拳法だってば……」
「格闘技は詳しく無い……」
ふぅ、と言いながら、幸子が腕組みをする。
「行こう」
重ねられたリディアの小さな手に、アタシは小さく頷いた。




